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笹幸恵
2018.3.24 07:04

放送事業の見直しの動きに警戒

もくれんさんがブログで触れていた、

安倍首相が検討しているという放送事業の見直し方針、

読売新聞が(珍しいことに?)真っ当な批判記事を載せている。

 

初っ端は17日の記事。その後も、21日、23日と

比較的熱心に取り上げている。

議論の発端は、2月1日に開かれた政府の未来投資会議。

ここで安倍首相は放送事業のあり方の大胆な見直しについて

発言をした。
現在、政府の規制改革推進会議のワーキンググループで
議論が進んでいるという。

とくに注目されるのは、放送法4条の撤廃の如何。

 
【第4条】

放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の

放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一  公安及び善良な風俗を害しないこと。

二  政治的に公平であること。

三  報道は事実をまげないですること。

四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの

角度から論点を明らかにすること。

 

これが撤廃されて地上波もネットも一緒くたになるという。

するとどうなるか、ネットでフェイクニュースがはびこり、

過激な発言がウケている現状を見れば、明らかではないか。

見たくないものは今まで以上に見なくて済むようになり、

他者の意見に耳を貸す必要性さえ感じなくなり、

人々はより刺激をもとめ、さらに過激になっていく。

そんな劣化現象がますます増幅する。いずれ、
国民の間で議論し合うことも、異論への寛容さを持ち合わせることも、
理解する糸口を見出すことさえ不可能になるのではないか。

 

17日の記事ではこれを一面で取り上げ、

さらに二面では「首相、批判報道に不満か」という

見出しまで掲げ、こう書いている。

いささか長いが、引用する。

 

今回の規制緩和は、AbemaTVに代表されるような

「放送法の規制がかからないネットテレビ」(首相)などの

放送事業への参入を狙ったものだ。首相は衆院選直前の

昨年10月、AbemaTVで1時間にわたり自説を述べた

経緯もある。政治的中立性の縛りを外せば、特定の党派色を

むき出しにした番組が報道されかねない。

 ネット事業者などに放送事業の門戸を開放すれば、

地上波キー局をはじめとする放送事業者の地盤沈下につながる。

首相の動きに、放送業界は「民法解体を狙うだけでなく、

首相を応援してくれる番組を期待しているのでは。

政権のおごりだ」と警戒を強めている。

 そうした見方が広がるのには理由がある。

首相は、政府・与党に批判的な報道を繰り広げる

一部の民放局にいらだちを募らせてきたからだ。

特に、「森友、加計問題」を巡る報道には強い不満をもらしている。

 

 

自分を批判する報道が気に食わないから

放送事業の見直しをさせるって、

どう考えても独裁者の発想でしょうよ。

長く権力を持ち過ぎた者の末期症状だ。

会議は月末にも開かれるという。
今後、この動きがどうなるか注視しておかねば。

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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